ゴースト名の由来

このページの記述時点で、ゴースト公開から5年半ほどの状況です。
2012年当時、色々と考えてゴースト名を付けたこともあり、覚えている限りで書いてみようと思います。

英語は主語を明確にする言語だと言われますが、口語に限っては日本語同様に主語が省略されることがあります。
ゴースト名は英語表記すると「Lost you somewhere」ですが、これは「I lost you somewhere」と同義です。
これはゴースト自体が「言葉によって交流を図る」ということにちなんで、わざと口語を選択した理由でもあります。
また、日本人向けであれば「Lost You Somewhere」というタイトルよりも「ロスト・ユー・サムウェア」の方がパッと見た時に印象に残りやすいでしょう。
母国語の方が意識に残りやすいという点は恐らく全てに言えることだと思います。
ただ、これが「アイ・ロスト・ユー・サムウェア」だと、個人的には冗長に感じてしまいます。
その点も含めて、「ロスト・ユー・サムウェア」と命名しています。

意味合い的には、「I lost you somewhere」は「私は貴方をどこかに失った」という感じになります。
この和訳では私と貴方が誰かは名言されていません。
普通であれば、ユーザ側の立場から見て、ルストリカがいつかいなくなるバッドエンドだと感じるかもしれません。
ただし、これは双方向の意味があり、ルストリカから見たユーザがいつかいなくなることもさしています。

このゴーストはメタ的な設定を多分に含んでいます。
例として、2010年台のゴーストは、ユーザに何らかの役割をもたせることが多いです。
居候しているとか、ゴーストに会いに行っているとか。
当然、ゴーストに会っているのは、今現実でこれを読んでいる貴方そのものではありません。
ユーザとしてゴーストと出会っている間、貴方はPCなどの電子機器を操作してSSPというアプリケーションを操作しているに過ぎません。
このゴーストはそこをメタ的に解釈し、ゴーストと出会っているのは、今SSPを操作している画面の前の貴方そのものである、としています。
設定上でも、ルストリカの住む世界は初めて起動された時に新たに繋がる（作られる）とし、全てのユーザに1つずつ世界が割り当てられています。
文化や世界の設定はあれど、細かい設定がないのは「ユーザが想像したその通りの世界と繋がったから」であり、設定が無い部分はユーザが想像した通りに世界が作られています。

さて、そのような点も含めてメタ的に考えれば、たかだか1つの無料配布されているキャラクターに対して、何年も愛着を持つ人はあまり多くはないでしょう。
忌憚なく言えば、どんなゲームも漫画もいずれ飽きるということです。
このゴーストに飽きれば起動することもなくなるでしょう。
そうして起動されなくなった時、ルストリカから見てユーザは失われたことになります。
繋がることもなくなった、交信用魔法が込められた宝玉の前で、ルストリカはこのゴースト名を小さく呟くはずです。

失うとは、記憶からもなくなってしまうことも意味しています。
かつて作者は葬儀の場で「人は死んだらもはや現世にはいられないが、誰かが思い出してくれる限り、ずっとそこにいてくれる」といった内容の説法を受けたことがあります。
仏教系だと思いますが、宗教には詳しくないので分かりません。
ただ、この教えから、幼いながらも「覚えている限り人は生き続ける」という点に感銘を受けたような記憶があります。
ゴーストが起動されなくなっても、ユーザである貴方が覚えていてくれる限り、ルストリカは貧しいけれど自由で気ままな生活を続けていることでしょう。

このゴースト名の由来に関して、どこかで書くこともあるだろうと思いつつも、ゴースト内で記述することもなく、なにやら死に設定になりそうだったので公開しておきます。
制作時に名前を考えてからもう6年も経つのは、なにやら恐ろしいような気分です。
実はゴースト名にはさらにもう1つ意味があるのですが、これは個人的な趣味趣向によるので割愛します。

その他、色々メタ的な解釈をしている部分があります。

ユーザとルストリカのやりとりを「交信」と言うのは、「更新」を意識して設定しました。
ゴーストの更新を続けて、セリフや機能を増やして改良してきました。

ルストリカが一般人であることを強調しているのは、ファンタジーを舞台にした作品は大抵がキャラクターが何らかの特別な能力を持つことへの反動です。
メジャーな流れに対してメタが流行るのはよくあることで、このゴーストもそういったメタを強く意識しています。

世界に関して、細かい設定は無いのにも関わらず文化などの設定をガチガチに固めているのは、ご都合主義へのメタです。
後出しで設定を出していくのが個人的にはあまり好みでなかったためです。